根多帳

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根多帳

「富久」 古今亭志ん朝(3)

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志ん生師匠親子3人の「富久」聴き比べ、最後を飾るのは志ん朝師匠です。

志ん朝師匠の語りは非常に明確でテンポも良く、そして情景が目に浮かぶような細かな描写・表現というところが受けているのだろうと思います。
そして、くすぐりもさらりとしていて、しつこくないので、素直に笑うことができますね。
もちろん、これらはこの噺でも十分楽しめます。

マクラの部分で「大神宮様のお祓い」とはっきりと伏線を張って噺を始めているところも良いですね。

サゲも十分に分かりやすく話していますから、初めてこの噺を聴く人にもわかり易いです。
紹介する順番が逆になってしまいましたが、最初にこの演目をCDで聴くとなると、志ん朝師匠のこの音源が良いと思います。

さて、皆さんのジャンボ宝くじが当たると良いですね。
そして、くれぐれも火の元にはご注意ください。

「富久」 金原亭馬生(10)

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前回の予告通り、「富久」の聴き比べ、その2は先代の馬生師匠です。
なんと、「一丁入り」の出囃子で高座に上がる、貴重な音源の1つと言えるでしょう。
あいにく、いつの録音のものかは確認できていませんが、馬生師匠が一丁入りを出囃子に使っていたのは、本当に最晩年のしかも数ヶ月とのことです。
声の方は、まだしっかりしています。

噺の方はって言うと、マクラらしいことをあまり語らずに、噺に入ってしまいます。
噺自体は毎度おなじみのままですが、初めてこの噺を聴くには、マクラでの伏線やら予備知識の説明などがあった方が分かりやすいです。

あまりにもサラリとサゲの言葉を言ってしまうこともあり、初心者向けではない、音源と言えます。

この噺はやはり12月に掛けるものでしょうから、亡くなる前年である1981年〈昭和56年〉の12月の録音ではないかと推理してみました。

「富久」 古今亭志ん生(5)

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年末ジャンボ宝くじ、買いましたか?。
この時期の会話のネタとして、よく出てきますよね。
噺に出てくる千両富となると、今の金額に換算すると、約1億円。
それに引き換え、今年の年末ジャンボは最高10億円らしいですね。
けど、昔の富くじは1枚で1分(ブ)、約2.5万円とそもそもが高額でした。

確率から言うと、億円単位の高額当選を得るよりも、宝くじを買って帰る途中で車にハネられてしまう確率の方が高いし、今日明日中に不意の死を遂げる確率の方が高いわけです。
何かと現実的な私は、まあこんな感じです。

さて、年末に聴き比べるシリーズとして、「富久」を取り上げます。
「富くじ」+「久蔵」を略して、「富久」。
根多出ししてある落語会で初めてこの噺の演目を見た時は、そんなこともいざ知らず、「どんな噺だろう?」と思ったものです。

聴き比べと言いながらも、今回は志ん生師匠、馬生師匠、志ん朝師匠の親子での聴き比べです。
ですから、噺は基本同じです。

3人いずれも既に亡くなっているので、今この古今亭の「富久」を聞くとなると、私のおすすめは当代の馬生師匠です。
師の噺のマクラからは、しばしば知識がさらりと語られることがあり、この「富久」についても、「大神宮様のお祓い」と言って、御札を配って歩く一方、古い方の御札を回収して、それを入れる箱が「お払(祓)い箱」の語源であることを知らされます。
「お祓い(お払い)」、この噺のキーワードですね。
また、正しい神棚での御札の飾り方も教えてくれます。
サゲに向けての、予備知識、伏線です。

さて、志ん生師匠の「富久」。
賭け事が楽しい、という大胆なマクラから、富くじへと切り替わって行きます。
特に私が好きな聴きどころは、富くじの抽選会場で出てくる、くすぐりです。
こういうところが、志ん生師匠の魅力ですね。

「芝浜」 古今亭志ん朝(3)

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前回からの引き続きで、「芝浜」の聴き比べです。
前回の三木助師匠のとは対局にあるのが、古今亭のバージョンだと思います。
ある意味、せっかちな展開です。
何故なら、芝の浜でのシーンがないのです。
「芝浜」と言いながら、肝心の財布を浜で拾うシーンがないのです。
原作というか、元々は財布も拾うシーンがあるはずですが、それを敢えて削ぎ落とした、新進気鋭な脚本構成と言った感じでしょうか?

まず、一般的に勝五郎という名で登場する主人公が、古今亭では熊五郎です。
そして、熊五郎がしぶしぶと家を追い出されたかと思うと、すぐに慌てて帰ってくるシーンに繋がるわけです。
浜での話は回想として語られるものの、実にサラリとしています。

拾ってくる金額は50両です。

ここでまたリアルさの検証ですが、慌てて戻ってきた熊五郎が、「早く起こしやがっただろう」と妻を責めるわけですが、自分だったらそんなことではなく、「金拾ったよ」というのが、らしいのではないかと思いました。

「芝浜」 桂三木助(3)

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年末ですから、「芝浜」を聴き比べてみたいと思います。
まずは、「芝浜」と言えばこの人、三代目桂三木助師匠の音源から聴いてみましょう。

当時は三木助師匠以外、他の人が「芝浜」を掛けなかったという逸話が残っているほどです。

師匠の噺として特徴的なのは、芝の浜で時間を潰す間の独り言ですね。
後日比較を行う、古今亭のパターンとここが大きく違っています。
(詳しくは、後日)

それと拾ってくる金は82両もあります。

ちょっと「芝浜」のリアル感について、考えたことがあります。
50両という設定でも、一分銀、二分銀ということと、濡れた財布ということで、その重さは1キロ近くになります。
それを懐に入れて、しかも濡れて、ヌルヌルしているような皮の財布を懐に入れて走るかな?。
自分だったら、魚を仕入れて入れる予定だった天秤の桶に入れて持ち帰ると思います。

それにしてもこの噺のサゲは秀逸ですよね。
野暮なので、それは言わずに止めておきましょう。
その台詞を師匠はサラリと言いのけてます。
結構、タメル人多いですよね。