「唐茄子屋政談」 古今亭志ん朝(3)

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私にもいくつかの好きな噺というものがあり、その1つがこの「唐茄子屋政談」です。
何ぶん長講ですので、最後まで通しで聴くことがなかなかない演目です。
これが、「芝浜」とかなら、必ず最後のサゲまで行くものの、そこまでのメジャーさがない演目ですが、その加減も私が好きな理由です。

古今亭志ん朝師匠の「志ん朝復活-色は匂へと散りぬるを ろ『唐茄子屋政談』」より、聴いてみます。

若旦那が駄目人間であることは周知の設定。
しかし、この若旦那、おじさんに小言を言われながらも、 唐茄子を実際に売って歩くし、ひもじい思いをしている子どもに、自分の弁当をあげ、オマケにその日の売上をそこのおかみさんに渡して逃げ帰ってくるような、凡人にはできない、良心を持っています。

売上の金を渡したことを、おじさんはその長屋まで行って確認するのですが、長屋の人から事情を聴いた後、「いや、分かった。話は聞いてた」とその言葉で、全てを承知したことを表す、志ん朝師匠の台詞が特に好きです。

きっとこの若旦那なら立ち直れたね、と思えるサゲが何よりも私がこの噺が好きな理由です。

「景清」 桂米朝(3)

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前回に引き続き、今回も三代目桂米朝師匠に登場願います。
演目は「景清」です。

東京で聴くこともある根多ですが、そもそもは上方落語ですので、当然のことながら、場所の設定が異なっています。

今回の音源は、前回紹介した「特選!! 米朝 落語全集」シリーズの第十四集です。

いわゆる、はめ物で、そこが上方落語らしいところです。
満貫百日目に観音様をお参りしたときに、定次郎が激しい雨に見舞われるシーンで、鳴物が入ってきて、嵐の雰囲気が盛り上がります
そして、観音様登場での鳴物、まさに聴きどころです。

サゲについてですが、東京では、目出度い噺と締めることが多いと思いますが、上方ではその土地柄か、笑いでオチをつけようとしている違いがあります。

「地獄八景亡者戯」 桂米朝(3)

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三代目桂米朝師匠が亡くなったということで、手持ちの音源を探したところ、CD2枚分の音源がありました。
こんな時期ということで、不謹慎かと迷いましたが、敢えて「地獄八景亡者戯」を取り上げたいと思います。
この演目の主な演者として名を挙げるとすれば、それは間違いなく、米朝師匠でしょうから。
平成2年4月22日、京都府立文化芸術会館にて収録 となっています。

25年ほど前の音源で声に張りもありながら、なかなかこのような長講が厳しくなっていると冒頭に話しています。

CDのタイトルは「特選!! 米朝 落語全集」シリーズの、その第十五集です。
この全集は全部で40枚のシリーズのようです。

この音源を私が持っている理由は、NHKの朝ドラ「ちりとてちん」で渡哲也演じる、徒然亭草若師匠がこの「地獄八景亡者戯」をやるという設定ながら、全貌は掛からないので、是非聞いてみたいと思って、演目からたどり着いたのが、米朝師匠のCDでした。
やはり上方の噺ですからね。

「大王(大黄)を飲んで下してしまう」
そんな下げも寂しく感じる晩です。

「品川心中」 古今亭志ん生(5)

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スーパーや駅で、短期間でCDやDVDを売っているのを見掛けませんか?。
演歌であったり、古い映画だったりがその主なものですが、その一角にわずかながら落語のCDが並んでいることがあります。
演者としては、志ん生師匠のケースが多いです。
そもそも、標準価格が安い上、それがまた値引き販売されていたりします。
(例:定価1,600円→980円)
ただ、音源が古いこともあり、音質があまり良くないのが、残念です。
いつでも買えそうだからと、冷やかしで立ち去ると、次の機会にはその売場がなくなっていたりするものです。
ついでを言うと、この手のディスクはいつの間にか廃盤になっていたりもします。

そんな中に、落語のCDが10枚組で、何と1,000円くらいで売られているパッケージがあります。
「落語名人寄席」というシリーズです。
しかも、シーズ化されて、4巻まで出ています。
今日はその中から、「其之壱」3枚目のディスクより、五代目古今亭志ん生師匠の「品川心中」を取り上げます。

今でこそ、品川と言うと、新幹線が止まり、海側の港南口には数多くの会社が立ち並ぶ一大エリアになりましたが、実はあの駅のある周辺は港区で、京急線に乗って、南へひと駅下るとそこには「北品川」という駅があります。
「品川」より南にありながら「北品川」とは如何なるものか?。
その答えは、旧東海道を歩いてみると分かります。

天下の東海道と言うものの、今では自動車が一方通行の小さな商店が立ち並ぶ通りです。
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途中にファミリーマートがあるのですが、そこが「土蔵相模」跡です。
噺にも出てきますが、フランキー堺主演の「幕末太陽傳」にも出てきます。
東海道をかつての浮世絵で見ると、街道がまさに海沿いで、進行方向左手が海でした。
お染と金蔵は、そこに身投げをしようとしたわけですが、遠浅だったわけで。

しばらく歩くと、目黒川が流れていて、そこに掛かっている橋が「品川橋」です。
この川、橋を起点に北を北品川、南を南品川と読んでいたそうです。
品川宿には街道沿いに、当時約180軒もの旅籠があったそうです。

金蔵さんが頭(かしら)のところに暇乞いに行き、「いつ帰ってくるんだ?」と聞かれて、「盆の13日に」と答える、くすぐりが面白いです。

「崇徳院」 桂三木助(3)

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三代目桂三木助師匠と言えば、「芝浜」が有名ですが、季節的なこともあり、それはまた旬の頃に取り上げるとして、今日取り上げるのは「崇徳院」です。

音源は、キングレコードの「落語笑事典(12)恋愛噺」というタイトルですが、既に廃盤になっているようです。
全15枚のシリーズで、黄金期と言いましょうか、その当時の名人・上手が得意とする噺のカテゴリー別にタイトル付けられています。
三木助師匠は「恋愛噺」ということで、この「崇徳院」と「芝浜」が収録されています。

聞き所は、お湯屋や床屋をさまよい歩く、熊さんの様子ですね。

「百年目」 古今亭志ん朝(3)

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季節がだいぶ春らしくなってきましたので、今日は花見の話題が出てくる噺、「百年目」を選びました。
三代目古今亭志ん朝師匠の口演音源で、「志ん朝復活-色は匂へと散りぬるを」シリーズの8枚目、「 (ち)「百年目」」のディスクです。

志ん朝師匠のCDは数多く出ていますが、このシリーズはあまりメジャーではない演目もあるのが魅力です。
12枚出ているようです。

さて、噺の方ですが、マクラで森繁久弥氏の出たがりだった逸話を披露しています。
それに対して、三木のり平氏は控えめだったそうです。
続けて、「芸は好きだけど、これを人前でやらなくて良ければ...」というところが私にはツボに入りました。

旦那が番頭を咎めるでもなく、諭すところが粋ですね。

なお、このCDに収録されている演目はこの「百年目」のみです。

上記、Amazonのリンク先にて、【試聴】が可能です。

「妾馬」 三遊亭圓生(6)

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六代目三遊亭圓生師匠の語り口は、江戸弁を大事にし、どこか気障な感じのするところが、粋で格好良く思えます。
そして、合間に湯のみに手を掛け、茶をすするときの感じ(音からだけですが)も好きです。

実は落語協会分裂騒ぎを巡って、「御乱心」(絶版)という本がありまして、その中で圓生師匠に対して厳しく、批判的なことがいろいろと書かれていましたので、CDで聴くのも避けていた時期がありました。

この本に書かれている内容が本当かどうかは分かりませんが、そんな人格が芸に出ているのかどうかを確認してみようと思って、聴き始めたのがきっかけです。
実際には、圓生師匠の録音音源として残っているものは、分裂騒ぎのはるか以前に録音されたものばかりのため、前述の問いに対する答えは得られていません。

しかしながら、分裂騒ぎの原因となった、真打大量昇進に対して、「NO!」と言った、芸道への厳しさはかつての音源からもひしひしと感じることができます。

今回の音源となっているのは、「日本伝統文化振興財団」シリーズの1枚目、しかも一番最初の演目、「妾馬」です。
1963年(昭和38年)8月31日に東宝演芸場で録音されたものです。

圓生師匠の場合、スタジオで録音した音源などもありますが、私として客席の反応を見ながら、ときに自嘲することもある、客ありの音源の方が好きです。

「稽古屋」 古今亭志ん生(5)

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一般にCD等になって残っている音源は寄席ではなく、ホールなどでの落語会のものが多く、長講もたっぷりと、また同じ会で二席以上やって、そのトリ席分を録音したものが多いようです。
このため、出囃子が必ずしも自分の出囃子ではなく、「中の舞」などで上がっている場合もあります。

そんな中、私が確認している限りでは、志ん生師匠の音源での出囃子は、必ず「一丁入り」です。
何だか、この出囃子は聴くだけで緊張が弛緩し、「さあ、笑うぞ!」という気分にさせてくれます。
寄席でも「一丁入り」が流れて、めくりがかえると、会場の雰囲気が一転したなどと聞きます。

ただ、一つ注意が必要なのは、「一丁入り」が必ずしも、志ん生師匠とは限らないことです。
長男の、十代目馬生師匠が晩年は「一丁入り」を出囃子として使用していましたので。
(その音源については、改めて後日紹介したいと思います)

ということで、皆さんにも「一丁入り」の出囃子で笑う準備をしていただきたいと思い、「稽古屋」を選んでみました。
志ん生師匠はマクラで演目がなんであるのかをすぐにバラしてしまうことが、ままあります。
今回も、冒頭で「稽古屋という噺は」と言ってしまってます。

これは音曲噺ですので、志ん生師匠の歌いのシーンがあります。
それと、とぼけた感じもとても面白いです。

そして、音源となっているCDの方ですが、「NHK落語名人選(82) 」です。
四席収録されています。
・稽古屋
・後生鰻
・らくだ
・巌流島


「愛宕山」 古今亭志ん朝(3)

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落語には季節感が重要ですから、この時期の根多ということで、「愛宕山」を選んでみました。
逆引きで今回登場願うのは、三代目古今亭志ん朝師匠です。
志ん朝師のCDは結構数が多いのと、比較的新しい人ですので、音も綺麗で聴きやすい物が残っています。

「落語名人会」という落語CDシリーズがソニー・ミュージックレコーズから出ていて、この演目はその3枚目に収録されています。
’78年4月に三百人劇場で収録されたもののようです。
このCDには2席収録されていて、カップリングは「宿屋の富」です。

このCDはAmazonで購入できますし、大きなTSUTAYAではレンタルが可能だと思います。
私の調べでは、場所柄だと思いますが、上野・鈴本演芸場の2軒北にあるTSUTAYAは落語関係のレンタルCDの品揃えが充実しています。

さて、今回の噺の方の聴きどころですが、
前半部の一八の強がりと、道中の唄い、でしょうか?
是非、ご自身でお確かめ下さい。