「富久」 古今亭志ん朝(3)

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志ん生師匠親子3人の「富久」聴き比べ、最後を飾るのは志ん朝師匠です。

志ん朝師匠の語りは非常に明確でテンポも良く、そして情景が目に浮かぶような細かな描写・表現というところが受けているのだろうと思います。
そして、くすぐりもさらりとしていて、しつこくないので、素直に笑うことができますね。
もちろん、これらはこの噺でも十分楽しめます。

マクラの部分で「大神宮様のお祓い」とはっきりと伏線を張って噺を始めているところも良いですね。

サゲも十分に分かりやすく話していますから、初めてこの噺を聴く人にもわかり易いです。
紹介する順番が逆になってしまいましたが、最初にこの演目をCDで聴くとなると、志ん朝師匠のこの音源が良いと思います。

さて、皆さんのジャンボ宝くじが当たると良いですね。
そして、くれぐれも火の元にはご注意ください。

「芝浜」 古今亭志ん朝(3)

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前回からの引き続きで、「芝浜」の聴き比べです。
前回の三木助師匠のとは対局にあるのが、古今亭のバージョンだと思います。
ある意味、せっかちな展開です。
何故なら、芝の浜でのシーンがないのです。
「芝浜」と言いながら、肝心の財布を浜で拾うシーンがないのです。
原作というか、元々は財布も拾うシーンがあるはずですが、それを敢えて削ぎ落とした、新進気鋭な脚本構成と言った感じでしょうか?

まず、一般的に勝五郎という名で登場する主人公が、古今亭では熊五郎です。
そして、熊五郎がしぶしぶと家を追い出されたかと思うと、すぐに慌てて帰ってくるシーンに繋がるわけです。
浜での話は回想として語られるものの、実にサラリとしています。

拾ってくる金額は50両です。

ここでまたリアルさの検証ですが、慌てて戻ってきた熊五郎が、「早く起こしやがっただろう」と妻を責めるわけですが、自分だったらそんなことではなく、「金拾ったよ」というのが、らしいのではないかと思いました。

「抜け雀」 古今亭志ん朝(3)

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噺のマクラが単にその日のお客様の状況を伺うのみならず、噺のサゲへの伏線だったりもします。
イントロクイズみたいなもので、このお決まりのフレーズがでてくるってえと、あの噺ってな具合に分かるもんです。

しかし、「道具屋という商売がありまして」なんてフレーズだからって、「道具屋」であることはほとんどなく、この場合は与太郎の小咄からつなぐことが多いですね。

まあ、おなじみの方にはその噺が何であるか分かった時点で、サゲも分かっているわけで、サゲに格段の期待がもたれているわけではないですね。
むしろ、今となってはそのままでは分かりにくいサゲをどう分かりやすくするか?、そのための説明をどのくらいマクラに伏線として入れておくか?、この辺りの加減を楽しむのも面白いものです。

「駕籠かき」を「籠描き」と言う、言い回しですね、この噺は。

大阪でのホール落語の録音音源です。

「船徳」 古今亭志ん朝(3)

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暑い日が続いていますね。
ぼおーっとしていたら、ちょっと旬を逃してしまった噺ではありますが、お許し下さい。
「船徳」です。
四万六千日詣りということですから、本来は今月の10日あたりに紹介しておいた方が良かったですが。
(けど、かつては旧暦でやってただろうから、まだ良いかな?)

私がこの噺で好きなくだりは、若旦那の徳さんが船頭になる、ついては店のものを全員集めて、その旨宣言したいとうことになって、「親方が読んでるよ~」となって、何故呼んでいるかをそれぞれが想像するシーン。
きっと怒られるに違いないと理由をかんがえるものの、結局それぞれの理由探しは空振りながら、白状してバレてしまうあたりです。
隣の天ぷらそばを盗み食いしたところが特に好きです。

今回の音源は、古今亭志ん朝師匠の「落語名人会 (1) 古今亭志ん朝(1) 「明烏」「船徳」」です。
「船徳」は79年7月の高座の録音とのことです。
41歳、まだ若々しい声ですね。

「大工調べ」 古今亭志ん朝(3)

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「江戸っ子は 皐月の鯉の吹き流し 口先ばかり はらわたは無し」
江戸っ子ではない私でも、なかなか好きなフレーズです。
この言葉が出てくると、あれでしょう。
そう、「大工調べ」です。

扱います音源は「落語名人火21 古今亭志ん朝13 黄金餅/大工調べ」です。

この噺は、やはり棟梁の啖呵が聞きものですね。
実に爽やかな啖呵、加えて棟梁の男気。
志ん朝師匠のリズミカルな口調、最高です。

与太郎は意外に腕の良い大工。
侮れません。

「唐茄子屋政談」 古今亭志ん朝(3)

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私にもいくつかの好きな噺というものがあり、その1つがこの「唐茄子屋政談」です。
何ぶん長講ですので、最後まで通しで聴くことがなかなかない演目です。
これが、「芝浜」とかなら、必ず最後のサゲまで行くものの、そこまでのメジャーさがない演目ですが、その加減も私が好きな理由です。

古今亭志ん朝師匠の「志ん朝復活-色は匂へと散りぬるを ろ『唐茄子屋政談』」より、聴いてみます。

若旦那が駄目人間であることは周知の設定。
しかし、この若旦那、おじさんに小言を言われながらも、 唐茄子を実際に売って歩くし、ひもじい思いをしている子どもに、自分の弁当をあげ、オマケにその日の売上をそこのおかみさんに渡して逃げ帰ってくるような、凡人にはできない、良心を持っています。

売上の金を渡したことを、おじさんはその長屋まで行って確認するのですが、長屋の人から事情を聴いた後、「いや、分かった。話は聞いてた」とその言葉で、全てを承知したことを表す、志ん朝師匠の台詞が特に好きです。

きっとこの若旦那なら立ち直れたね、と思えるサゲが何よりも私がこの噺が好きな理由です。

「百年目」 古今亭志ん朝(3)

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季節がだいぶ春らしくなってきましたので、今日は花見の話題が出てくる噺、「百年目」を選びました。
三代目古今亭志ん朝師匠の口演音源で、「志ん朝復活-色は匂へと散りぬるを」シリーズの8枚目、「 (ち)「百年目」」のディスクです。

志ん朝師匠のCDは数多く出ていますが、このシリーズはあまりメジャーではない演目もあるのが魅力です。
12枚出ているようです。

さて、噺の方ですが、マクラで森繁久弥氏の出たがりだった逸話を披露しています。
それに対して、三木のり平氏は控えめだったそうです。
続けて、「芸は好きだけど、これを人前でやらなくて良ければ...」というところが私にはツボに入りました。

旦那が番頭を咎めるでもなく、諭すところが粋ですね。

なお、このCDに収録されている演目はこの「百年目」のみです。

上記、Amazonのリンク先にて、【試聴】が可能です。

「愛宕山」 古今亭志ん朝(3)

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落語には季節感が重要ですから、この時期の根多ということで、「愛宕山」を選んでみました。
逆引きで今回登場願うのは、三代目古今亭志ん朝師匠です。
志ん朝師のCDは結構数が多いのと、比較的新しい人ですので、音も綺麗で聴きやすい物が残っています。

「落語名人会」という落語CDシリーズがソニー・ミュージックレコーズから出ていて、この演目はその3枚目に収録されています。
’78年4月に三百人劇場で収録されたもののようです。
このCDには2席収録されていて、カップリングは「宿屋の富」です。

このCDはAmazonで購入できますし、大きなTSUTAYAではレンタルが可能だと思います。
私の調べでは、場所柄だと思いますが、上野・鈴本演芸場の2軒北にあるTSUTAYAは落語関係のレンタルCDの品揃えが充実しています。

さて、今回の噺の方の聴きどころですが、
前半部の一八の強がりと、道中の唄い、でしょうか?
是非、ご自身でお確かめ下さい。