「富久」 古今亭志ん生(5)

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年末ジャンボ宝くじ、買いましたか?。
この時期の会話のネタとして、よく出てきますよね。
噺に出てくる千両富となると、今の金額に換算すると、約1億円。
それに引き換え、今年の年末ジャンボは最高10億円らしいですね。
けど、昔の富くじは1枚で1分(ブ)、約2.5万円とそもそもが高額でした。

確率から言うと、億円単位の高額当選を得るよりも、宝くじを買って帰る途中で車にハネられてしまう確率の方が高いし、今日明日中に不意の死を遂げる確率の方が高いわけです。
何かと現実的な私は、まあこんな感じです。

さて、年末に聴き比べるシリーズとして、「富久」を取り上げます。
「富くじ」+「久蔵」を略して、「富久」。
根多出ししてある落語会で初めてこの噺の演目を見た時は、そんなこともいざ知らず、「どんな噺だろう?」と思ったものです。

聴き比べと言いながらも、今回は志ん生師匠、馬生師匠、志ん朝師匠の親子での聴き比べです。
ですから、噺は基本同じです。

3人いずれも既に亡くなっているので、今この古今亭の「富久」を聞くとなると、私のおすすめは当代の馬生師匠です。
師の噺のマクラからは、しばしば知識がさらりと語られることがあり、この「富久」についても、「大神宮様のお祓い」と言って、御札を配って歩く一方、古い方の御札を回収して、それを入れる箱が「お払(祓)い箱」の語源であることを知らされます。
「お祓い(お払い)」、この噺のキーワードですね。
また、正しい神棚での御札の飾り方も教えてくれます。
サゲに向けての、予備知識、伏線です。

さて、志ん生師匠の「富久」。
賭け事が楽しい、という大胆なマクラから、富くじへと切り替わって行きます。
特に私が好きな聴きどころは、富くじの抽選会場で出てくる、くすぐりです。
こういうところが、志ん生師匠の魅力ですね。

「艶笑落語」 古今亭志ん生(5)

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志ん生師匠の後に、圓生師匠が出てくる豪華な落語会での収録の様です。
本来なら、「大工調べ」をやろうかということだったみたいですが、噺が「ツク」ということで、急遽演目の変更です。
本来なら、そんなことなど言わずに、別の噺を始めれば良さそうなものですが、サービス精神旺盛の志ん生師匠は、「こんばんの演題は私に任せていただいて、普段は滅多にやらない噺をさせていただきます。」という挨拶に会場が一斉に湧き上がります。
しかも、以前自分の師匠がやっているのを楽屋で見て覚えた噺とまで言っています。

この艶笑噺の本編は「鈴ふり」で、前半に小噺的に左甚五郎が出てくる「四つ目屋」を付けたものです。
やはり傑作なのはこの「四つ目屋」です。
この噺というか、おそらく同じ音源を使っての解説だと思いますが、
「落語の舞台を歩く」 http://ginjo.fc2web.com/95yotumeya/yotumeya.htm に、この噺の前半部分「四つ目屋」の噺とその舞台となった場所についての解説があるので、ぜひ御覧ください。

今日紹介する音源は日本コロンビアの「決定盤 志ん生落語集(9)」です。
収録タイトルは、
1.品川心中
2.艶笑落語

廓噺とはまた一味違った色気噺、バレ噺。
めったに聞けない、貴重な音源です。

「らくだ」 古今亭志ん生(5)

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冒頭に演目を喋ってしまいます。
「えー、『らくだ』という噺で」
志ん生師匠にはありがちな導入です。

本来この噺の冒頭は、らくだの兄貴分がいろいろと悪態をついて屑屋を脅かし、月番のところに遣いに出すくだりがあるのでが、今回は屑屋が月番のうちに交渉に来たところから始まります。
ですから、初めてこの噺を聞く人(あまりいないと思いますが)は、最初に誰と誰が会話しているのか、分からないのでは、と思います。

この口演は途中、屑屋が悪酔いし、立場が逆転して、らくだの兄貴分に絡むところまでです。

今回のCD音源は「NHK落語名人選(82) 五代目 古今亭志ん生」です。
収録されている演目は、
 ・稽古屋
 ・後生鰻
 ・らくだ
 ・巌流島
の4つです。
このブログでも、以前「稽古屋」を取り上げました。

「火焔太鼓」 古今亭志ん生(5)

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五代目 古今亭志ん生師匠、「火焔太鼓」をいきましょう。

この「火焔太鼓」の音源は数パターン出回っています。
サゲの「オジャンになるから」が、めでたい時には使えないからと、「太鼓でドンドン儲かる」というサゲパターンもあります。

今回取り上げる音源は、「コロムビア創立100周年記念!最強の名人落語集!!」シリーズの「五代目古今亭志ん生 ベスト」です。
2枚組のなかなかお得なパッケージです。
収録されている演目は、
・火焔太鼓
・たいこ腹
・粗忽長屋
・替り目
・三枚起請
・宿屋の富

かつてこの演目は、志ん生師匠だけがやり、やがて志ん朝師匠に受け継がれる形で、当時は他の人が演じることがなかったそうです。
今では他の一門でも、二ツ目でも演じるネタになっているのはご承知の通り。

改めて、志ん生師匠を聴く上で大事なことは、師匠自ら、「噺とは洒落が固まったもので」と言うように、細かな笑い(=クスグリ)を非常に大事にしていて、聴衆はそれをこぼさぬように拾っていく姿勢であることに気が付きます。ふら、っていうやつですね。

最近、落語に限らず、「社長シリーズ」の映画(特に、三木のり平)やクレージーキャッツの映画のクスグリみたいなシーンが妙に面白く感じています。

このジャケットのイラストが妙にかわいいですよね。

「品川心中」 古今亭志ん生(5)

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スーパーや駅で、短期間でCDやDVDを売っているのを見掛けませんか?。
演歌であったり、古い映画だったりがその主なものですが、その一角にわずかながら落語のCDが並んでいることがあります。
演者としては、志ん生師匠のケースが多いです。
そもそも、標準価格が安い上、それがまた値引き販売されていたりします。
(例:定価1,600円→980円)
ただ、音源が古いこともあり、音質があまり良くないのが、残念です。
いつでも買えそうだからと、冷やかしで立ち去ると、次の機会にはその売場がなくなっていたりするものです。
ついでを言うと、この手のディスクはいつの間にか廃盤になっていたりもします。

そんな中に、落語のCDが10枚組で、何と1,000円くらいで売られているパッケージがあります。
「落語名人寄席」というシリーズです。
しかも、シーズ化されて、4巻まで出ています。
今日はその中から、「其之壱」3枚目のディスクより、五代目古今亭志ん生師匠の「品川心中」を取り上げます。

今でこそ、品川と言うと、新幹線が止まり、海側の港南口には数多くの会社が立ち並ぶ一大エリアになりましたが、実はあの駅のある周辺は港区で、京急線に乗って、南へひと駅下るとそこには「北品川」という駅があります。
「品川」より南にありながら「北品川」とは如何なるものか?。
その答えは、旧東海道を歩いてみると分かります。

天下の東海道と言うものの、今では自動車が一方通行の小さな商店が立ち並ぶ通りです。
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途中にファミリーマートがあるのですが、そこが「土蔵相模」跡です。
噺にも出てきますが、フランキー堺主演の「幕末太陽傳」にも出てきます。
東海道をかつての浮世絵で見ると、街道がまさに海沿いで、進行方向左手が海でした。
お染と金蔵は、そこに身投げをしようとしたわけですが、遠浅だったわけで。

しばらく歩くと、目黒川が流れていて、そこに掛かっている橋が「品川橋」です。
この川、橋を起点に北を北品川、南を南品川と読んでいたそうです。
品川宿には街道沿いに、当時約180軒もの旅籠があったそうです。

金蔵さんが頭(かしら)のところに暇乞いに行き、「いつ帰ってくるんだ?」と聞かれて、「盆の13日に」と答える、くすぐりが面白いです。

「稽古屋」 古今亭志ん生(5)

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一般にCD等になって残っている音源は寄席ではなく、ホールなどでの落語会のものが多く、長講もたっぷりと、また同じ会で二席以上やって、そのトリ席分を録音したものが多いようです。
このため、出囃子が必ずしも自分の出囃子ではなく、「中の舞」などで上がっている場合もあります。

そんな中、私が確認している限りでは、志ん生師匠の音源での出囃子は、必ず「一丁入り」です。
何だか、この出囃子は聴くだけで緊張が弛緩し、「さあ、笑うぞ!」という気分にさせてくれます。
寄席でも「一丁入り」が流れて、めくりがかえると、会場の雰囲気が一転したなどと聞きます。

ただ、一つ注意が必要なのは、「一丁入り」が必ずしも、志ん生師匠とは限らないことです。
長男の、十代目馬生師匠が晩年は「一丁入り」を出囃子として使用していましたので。
(その音源については、改めて後日紹介したいと思います)

ということで、皆さんにも「一丁入り」の出囃子で笑う準備をしていただきたいと思い、「稽古屋」を選んでみました。
志ん生師匠はマクラで演目がなんであるのかをすぐにバラしてしまうことが、ままあります。
今回も、冒頭で「稽古屋という噺は」と言ってしまってます。

これは音曲噺ですので、志ん生師匠の歌いのシーンがあります。
それと、とぼけた感じもとても面白いです。

そして、音源となっているCDの方ですが、「NHK落語名人選(82) 」です。
四席収録されています。
・稽古屋
・後生鰻
・らくだ
・巌流島